woman

こんにちは、大学を卒業してから公務員になったものです。
詳しくは書けないのですが、今の仕事を辞めたいと思っています。
そこでいくつか知りたいことがあるのですが・・・

  1. 私のように公務員を辞めたいと思っている人はいるのでしょうか? どんな人が多いのでしょうか?
  2. 民間の企業に就職したいと思っているのですが私のように公務員出身でも雇ってくれるのでしょうか?

もしご存知のことがあれば教えて下さい。
ちなみに辞めたい理由は仕事が単調でつまらないからです。
世間的には「公務員はラク」とか心ないことを言われるのですが実際にやってみると私のように単調な仕事で魂が抜けてしまっているような人も多いです……
(相談者:りんご)

onayami-soudan

りんごさん、はじめまして!
くよくよRoomをご覧いただき、ありがとうございます!
くよくよRoomアドバイザーの律子です。

公務員をやめて、民間企業で働きたいと考えているんですね。

私の同僚がもともと地方公務員を志望していたらしく、『いいなー公務員』という嘆きをよく聞いているためか、辞めてしまうのはちょっともったいないなと思ってしまいますが……りんごさんの人生です!

公務員から民間企業への転職をする前に知っておきたい情報をまとめました。

公務員の退職率

まずは、公務員を辞めた人はどれくらいいるのかを調べてみました。

(3)離職状況
離職とは、職員が職員としての身分を失うことをいい、定年退職、辞職(人事交流によるものを含む。)、免職、失職などである。
平成25年度の離職者総数は21,465人(男性15,309人、女性6,156人)であり、前年度に比べ1,330人増加(男性1,047人、女性283人)している。このうち、給与法適用職員は15,252人(前年度比1,166人増)、特定独立行政法人職員は5,873人(同311人増)となっている(資料1-21)。
離職率(平成24年1月15日現在の在職者数に対する同25年度中の離職者数の割合)は給与法適用職員で5.7%、特定独立行政法人職員で9.4%、全職員で6.4%(男性6.1%、女性7.1%)となっている(図1-5)。

引用元:人事院 平成26年度 年次報告書 白書等データベースシステム
図1-5 最近5年間の離職者数
長期統計等資料 3 一般職国家公務員の在職者・離職者数の推移

定年退職の人数も含まれているため、離職者数がものすごく多く感じますね。
以下の離職状況等一覧表『離職・辞職』から、年齢別の人数を確認することができます。

資料1-21 平成25年度における職員の在職、離職状況等一覧表

25~29歳男性が639人に対し、女性が1,318人と男性の倍以上辞職していることが気になります。30~34歳女性も多いことから、りんごさんのようにやりたいことがみつかったので若いうちに転職したかった、結婚や育児を期に辞めることを決断したという女性が多いのではないかと推測しました。しかし、次のデータでは、その推測が覆ります。

第1編 《人事行政》
【第2部】女性国家公務員の採用・登用の拡大に向けて
第1章 女性国家公務員の在職・採用・登用の状況
第1節 在職者における女性職員の状況
3 年齢階層別離職率の推移

女性職員の離職率は、昭和56年度において25~29歳層が7.1%と非常に高く、当時は結婚・育児等を契機とした退職が多かったと推測されるが、平成15年度以降は25~29歳層も2%程度となっているほか、年齢層が高くなるに従って2%台から1%程度に低下する傾向を示している。このように、結婚・育児等を契機とする退職は現在の国家公務員においてはほとんど見受けられないが、登用の観点からは、女性職員の離職率を可能な限り低下させていくことが求められる。

引用元:人事院 平成26年度 年次報告書 白書等データベースシステム
図3 女性職員の離職率

福利厚生が充実している公務員は、育児休暇をとりやすい環境が整っているため、辞めることなく職場復帰を果たせるようです。

公務員から民間企業に転職する人はいるのか?

平成25年度に辞職をした人は12,986人とありましたが、この中からどれだけの割合で民間企業へ転職しているのかは残念ながらわかりません。
しかし、以下の理由をもたない多くの人は、民間企業へ転職していると考えられます。

・結婚後、育児に専念するために専業主婦になる
・療養のため、完治するまで仕事はできない
・起業を考えている

公務員が民間企業に転職する際の注意点

『公務員はつかえない』偏見への対策

以前、さまざまな業種の人間が集まるお酒の席で『公務員はつかえない』『公務員は民間企業では通用しない』などという偏見を耳にしたことがあります。

このような漠然とした偏見から、公務員から民間企業へ転職することは『ハードルが高い』といわれています。理由として、公務員は定められたルールに基づいた仕事をしている印象が強く、民間企業のように利益を追究し、自ら行動する能力やチャレンジ精神が見受けられないという評価をされてしまう可能性があるからです。

しかし、私は一部の人間が発している『くだらない偏見』に怯える必要はないと思うんです。公務員だろうが民間企業で働く人であろうが、転職活動の時に重要なのは以下に尽きます。

  • 今までどんなことに尽力してきたのか
  • 現在の自分のスキル(自分には何ができるか)
  • 今後追求していきたいことへの熱意
  • 今後追求していきたいことを達成するためのビジョン

面接時、これらをしっかり伝えられるように準備をしておくことが大切です。

りんごさんは『民間の企業に就職したいと思っているのですが私のように公務員出身でも雇ってくれるのでしょうか?』と不安を抱いていましたが、強い決意があるならば臆せずチャレンジしてほしいです。

公務員の業務内容とはかけ離れた業種へチャレンジする場合には、未経験からのスタートになります。公務員だからこそ問われる『公務員から民間企業に転職しようと思った理由』もきちんと答えられるように固めておきましょう。『仕事が単調でつまらないから』という理由だけでは、転職は難しいということです。

民間企業を見極めるちから

私は民間企業で働き、今まで何社かの転職経験があります。

転職活動の際、多くの企業の求人案件を見て応募条件や待遇を比較したり、コーポレートサイトや企業アカウントのSNS等をチェックしてどんな会社なのか調べますよね。民間企業に勤めた経験があると、これらの情報から『きな臭い企業』をある程度見抜くことができます。同業だともっとわかります。

何がいいたいかというと、公務員から民間企業へ転職する際、企業選びには注意が必要だということです。公務員とは違い、民間企業には大企業から中小企業、ホワイト企業からブラック企業まで多種多様に存在します。

  • 大手企業だが、いつみても求人広告が掲載されている
  • 好待遇の裏に、公務員時代には経験したことがない厳しいノルマが待っていた
  • 企業ブランドは魅力的だが、本当に自分が尽力したい商材・サービスなのか

このように、いろいろな観点から企業の本質を見極めることが大切です。

公務員と民間企業の違い

◆公務員
⇒ 国民のため、よりよい社会をつくる。公共の利益のために尽力する。
◆民間企業 
⇒ 営利目的。利益を得るために商売をし、自身の経済的利益を追求する。

これらを念頭に、公務員と民間企業で働く際の違いをみていきましょう。

待遇面

福利厚生

公務員の福利厚生に関しては、りんごさんが一番理解されていると思います。
妊娠出産休暇はもちろん、仕事と介護の両立を支援する介護休暇など、福利厚生の充実は大きなメリットでしょう。

民間企業の福利厚生は会社によって大きく異なります。
転勤が多いのに住宅手当が低かったり、育児休暇があっても人手不足により取得しづらい環境にあるなど、厳しい現実があるのも事実です。

企業の求人情報をチェックする際、どうしても給与にばかり目がいきがちですが、福利厚生をしっかり確認しましょう。

職や年収の安定

民間企業では、業績悪化に伴いリストラされ、職を失うというリスクがあります。

私の友人は、クビにはなりませんでしたが、給与の減額やボーナスをカットされて『ボーナスを当てにして組んだ住宅ローンが払えなくなる』と嘆いていました。逆に業績が好調な場合、給与やボーナスがアップする可能性もあります。

公務員は、何か問題を起こし懲戒処分を受けない限り、減給や解雇されることはありません。定年まで勤めあげれば退職金も受け取ることができます。

昇給や昇格

公務員、民間企業ともに、年功序列で勤続年数に応じて給与が上がるシステムが根付いています。

しかし近年、民間企業では個人の能力を評価して、実力があるものが昇給・昇格できる実力主義・成果主義のシステムを採用する企業が増えてきているのが現状です。
大手企業や公務員は『キャリア採用か』『ノンャリア採用か』で、はじめから昇給や昇格に大きな差があるという体制がとられています。

フェアな土俵で勝負したいという若者は、実力主義のベンチャー企業を選ぶ傾向がみられます。

仕事面

大きな組織に属している公務員は、どうしても組織で統一された規定に基づいた仕事が多くなります。
何か新しいことを開拓していくような仕事は少なく、前例主義なイメージです。損益やノルマなどに追われることがありません。

りんごさんが単調でつまらないと感じている仕事も、決められた手続き・ルールに基づいて、脱線することなく確実に処理していかなくてはならないような業務内容なのではないでしょうか。

民間企業は、常に利益を追求し、競合他社との争いに日々戦略を立てています。
個人のアイディアで生み出した商品やサービスを提供することで、社会だけでなく世界を変えることも可能です。

商品やサービスが顧客に受け入れられなかった時のリスクは大きいですが、イノベーション力やチャレンジ精神、行動力が重要視される環境は、『仕事が単調でつまらない』というりんごさんにとっては魅力的に感じるかもしれません。

しかし民間企業にも地道な業務はつきものです。特に入社して間もない新人は、単純作業も懸命にこなし信頼を築いていく覚悟が必要になります。

特に小規模な民間企業では、ひとりひとりの役割は広く、大きな戦力になるという感覚も理解しておきましょう。

onayami-soudan

りんごさん、公務員を辞めてしまう前にまずは転職サイト を利用して、いろいろな企業の求人情報をチェックしてみることからはじめてみてはいかがでしょうか。

または、公務員の宿命でもある転勤や異動を任命されるまで『単調な仕事』に耐え、その間は希望の職種に必要な資格取得に注力するなどの選択肢もありますね。(転勤先・異動先の仕事が単調でなくなる保証もありませんが……)

『やっぱり公務員をやめなければよかった』と後悔しないためにも、慎重に判断することが大切です。

『公務員を続ける』『民間企業に転職する』どちらを選択したとしても、りんごさん自身が達成感や充実感を味わえるお仕事ができますように!